プロテインで肌が若返る?シニア世代の“たるみ・乾燥”改善効果を徹底解説

プロテインと肌の関係ね
気になるわ

プロテインと肌の関係を深掘りしてゆくよ
年齢を重ねるとともに気になる「肌のハリ」や「乾燥」。実はこれらの悩み、タンパク質不足が深く関係していることをご存じでしょうか。
近年では、美容だけでなく健康維持の観点からもプロテイン(タンパク質補給)が注目されています。本記事では、肌とプロテインの関係を科学的に解説し、シニア世代が取り入れるべき栄養と習慣を紹介します。
肌のハリ・潤いを支える「3つのタンパク質」
肌は主に「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造で成り立っています。特に真皮層には、コラーゲン・エラスチン・ケラチンといったタンパク質が豊富に存在し、肌の弾力や潤いを支えています。

コラーゲン ― ハリの土台をつくるタンパク質
肌の約70%を占めるコラーゲンは、真皮層で網目状に張り巡らされた線維状タンパク質であり、肌のハリと弾力を支える“骨組み”のような存在です。このコラーゲンが十分にあると、肌表面がふっくらと持ち上がり、若々しい印象を保ちます。
しかし、40代以降になると体内でのコラーゲン合成力が低下し、線維の配列が乱れることで真皮の密度が減少します。その結果、肌の支えが弱まり、たるみやシワが目立ちやすくなります。プロテインから得られるアミノ酸(特にグリシンやプロリン)は、コラーゲン合成に必要な原料となるため、日常的なタンパク質摂取は肌の土台を保つうえで欠かせません。
エラスチン ― 弾力を生み出すバネのような存在
エラスチンは、コラーゲンの隙間をつなぎ留めるように存在し、肌の伸縮性を担う“バネ”のようなタンパク質です。笑った後に頬がすぐ戻る、指で押した肌がふっくら跳ね返る、といった弾力感は、このエラスチンによるものです。
しかし、紫外線や加齢によってエラスチン線維が切断・変性すると、肌は伸びたまま戻りにくくなり、たるみや毛穴の開きが目立ちやすくなります。また、エラスチンは体内で新しく作られにくいため、破壊を防ぐことが大切です。十分なタンパク質摂取と抗酸化栄養素(ビタミンCなど)を組み合わせることで、エラスチンの維持が期待できます。
ケラチン ― 外的刺激から守るバリア機能
表皮の角質層を構成するケラチンは、外部刺激から肌を守る“防御壁”のような存在であり、乾燥・紫外線・摩擦などに対してバリア機能を発揮します。ケラチンはアミノ酸から合成されるため、食事で十分なタンパク質を摂取できていないと、皮膚のターンオーバー(生まれ変わり)のサイクルが乱れます。
その結果、角質が厚く硬くなったり、水分保持力が低下して乾燥やごわつき、くすみが生じます。特にシニア世代では皮脂分泌量の減少も重なり、バリア機能が低下しやすい傾向があります。ケラチンの健全な生成には、プロテイン由来のアミノ酸(システインやメチオニン)を継続的に補うことが重要です。
加齢によるタンパク質不足が「肌老化」を招く
50代以降では、筋肉量だけでなく肌タンパク質の合成能力(MPS:Muscle Protein Synthesis)も低下します。
特に、女性は閉経後にエストロゲン分泌が減少することで、コラーゲン量が急激に減少することが報告されています(参考:Bonjour et al., Am J Clin Nutr, 2013)。
また、食事量が減ることで総タンパク質摂取量も不足しがちです。これにより肌細胞の再生が遅れ、乾燥・小ジワ・ハリ不足といった「老け顔サイン」が進行します。
プロテイン摂取で期待できる“肌再生サイクル”の改善
ロイシンが鍵 ― 肌にも効く必須アミノ酸
ロイシンは9種類ある必須アミノ酸の一つであり、特に「筋肉だけでなく肌の若々しさを保つためにも欠かせない栄養素」です。ロイシンは、筋タンパク質合成(MPS:Muscle Protein Synthesis)を活性化するスイッチのような働きを持ち、同時に皮膚細胞の修復や再生にも関与します。年齢とともにこのMPS反応が鈍くなる「アナボリックレジスタンス(同化抵抗性)」が生じるため、シニア世代ではより多くのロイシンを摂取することが推奨されています。
肌においても、ロイシンは「ターンオーバー(皮膚の生まれ変わり)」を促進し、ダメージを受けた細胞の再構築を助ける作用を持ちます。特に、コラーゲンを生成する線維芽細胞や、角化細胞(ケラチノサイト)の代謝を活性化させることが報告されています。そのため、肌のハリや弾力を支えるだけでなく、乾燥小ジワやくすみの改善にもつながる可能性があります。
ロイシンは、乳清(ホエイ)プロテインやカゼインプロテインなどの動物性タンパク質に特に多く含まれています。中でもホエイプロテインはロイシン含有率が高く、吸収速度が速いため、肌の修復に必要なアミノ酸を効率よく供給できます。一方で、植物性の大豆プロテインにも一定量のロイシンが含まれており、コレステロールを気にする女性シニアにも適しています。
さらに、ロイシンは「mTOR経路」と呼ばれる細胞成長の制御経路を刺激し、タンパク質合成を促す遺伝子スイッチをオンにする働きも確認されています。このmTOR経路の活性化は、筋肉の維持だけでなく、皮膚や髪、爪といった“見た目の健康”にも深く関わっています。
つまり、ロイシンは単なる筋肉増強アミノ酸ではなく、肌の細胞を若々しく保つための鍵分子でもあるのです。プロテインを選ぶ際には「ロイシン含有量」や「BCAAバランス」に注目し、朝食後や運動後、就寝前といった代謝が高まる時間帯に摂取することで、肌の再生力をより効果的に高めることができます。
ロイシンを多く含む主な食品とプロテイン
| 食品・サプリメント | ロイシン含有量(100gあたり) | 特徴 |
|---|---|---|
| ホエイプロテイン | 約10〜12g | 吸収が速く、運動後の摂取に最適 |
| 大豆プロテイン | 約7g | 植物性でコレステロールゼロ、女性ホルモン様作用あり |
| 鶏むね肉 | 約1.7g | 低脂質・高タンパクの代表食品 |
| 卵 | 約1.1g | 完全栄養食として優秀 |
| 牛赤身肉 | 約1.7g | コラーゲン生成をサポートする鉄分も豊富 |
・肌の70%はタンパク質
・1回あたり2.5〜3gのロイシンを摂取することでMPSが最大限に活性化すると報告されています。
・プロテインを選ぶ際は、パッケージに記載されている「ロイシン含有率」や「ホエイプロテイン比率」に注目すると効果的です。
・就寝前に摂取することで、睡眠中の細胞修復プロセス(成長ホルモン分泌期)をサポートします。

シニア世代におすすめのプロテイン摂取法
1日60〜80gのタンパク質を目標に
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、65歳以上の推奨タンパク質摂取量は男性で60g、女性で50g程度とされています。
ただし、肌の再生や筋肉維持を目的とする場合はやや多め(体重×1.2〜1.5g)が理想的です。
朝食と就寝前の摂取が効果的
朝は空腹による筋分解が進みやすく、夜は成長ホルモン分泌が盛んな時間帯です。朝食と就寝前にプロテインを摂ることで、肌の再生リズムを整えることができます。
食事+プロテインで「内側から潤う肌」へ
タンパク質単独ではなく、ビタミンCや亜鉛、鉄などの栄養素と組み合わせることで、コラーゲン合成がより活発になります。
たとえば、朝にホエイプロテイン+キウイ(ビタミンCが豊富で知られている果物です)、昼に鶏むね肉+ブロッコリー、夜に豆腐+プロテインドリンクといった組み合わせが効果的です。
いつも豆腐を食卓という縛りをなくすため、夜の食事は普段通り食べて頂き、寝る前にプロティン+豆乳という組み合わせを提唱させていただいています。豆乳から肌に良い物質と言われておりますイソフラボンも一緒に摂ることができますので、ぜひ検討ください。
まとめ ― “飲むスキンケア”としてのプロテイン
加齢による肌の衰えは避けられませんが、日々の食事で「肌の材料」をしっかり補うことで、ハリ・潤い・弾力を取り戻すことが可能となります。
日頃のスキンケアを否定するのではなく、皮膚の表皮に直接栄養をスキンケア製品も必要と考えております。プロテインは、内側から肌環境を再構築する“飲むスキンケア”です。
皮膚の表皮のスキンケア製品と皮膚の内側の肌環境を構築するプロテインのダブル効果で加齢による肌の衰えを遅らせる可能性は高くなります。
日頃の生活に、朝と夜プロテインを摂るというプロテイン生活を加えて、健康生活を一緒に目指して行きましょう。
今回は、プロテインで肌が若返る?シニア世代の“たるみ・乾燥”改善効果を徹底解説というお話しでした。
参考文献
Bonjour JP et al., Am J Clin Nutr. 2013; 98(4): 1072–1080.
Dawson-Hughes B et al., Am J Clin Nutr. 2002; 75(4): 773–779.
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
